伊藤英明とは – 日本を代表する実力派俳優
日本の映画・ドラマ界において、確固たる地位を築き上げてきた俳優・伊藤英明。1975年生まれの彼は、デビューから現在に至るまで、数々の作品で印象的な演技を披露し続けています。アクション俳優としての側面だけでなく、繊細な感情表現や、時に冷徹な悪役まで、幅広い役柄をこなす演技力が高く評価されています。
本記事では、伊藤英明の生い立ちから最新作「ドンケツ」に至るまでの軌跡を辿りながら、彼の俳優としての魅力や、役作りへのこだわり、そして私生活の一面まで、多角的に迫っていきます。伊藤英明ファンはもちろん、彼の作品をこれから観たいと考えている方にも、その魅力が伝わる内容となっています。
伊藤英明のプロフィールと経歴
基本プロフィール
伊藤英明(いとう ひであき)は、1975年8月3日生まれの現在49歳。長崎県佐世保市で生まれ、岐阜県岐阜市で育ちました。身長183cmと高身長で、血液型はO型。2024年7月1日に個人事務所・ID4マネージメントを設立し、現在はそこに所属しています。
項目 | 詳細 |
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名前 | 伊藤英明(いとう ひであき) |
生年月日 | 1975年8月3日 |
出身地 | 長崎県佐世保市生まれ、岐阜県岐阜市育ち |
身長 | 183cm |
血液型 | O型 |
所属事務所 | ID4マネージメント(2024年7月1日設立) |
学歴 | 岐阜県立岐南工業高等学校 電気工学科 卒業 |
趣味 | スキューバダイビング、乗馬、スキー、スノーボード |
幼少期と病気の経験
伊藤英明の幼少期は、決して平坦なものではありませんでした。幼稚園の頃に急性腎炎と診断され、入院生活を送ることになります。小学校入学後も慢性腎炎のため入退院を繰り返し、小学校には通算で3年間ほどしか通えなかったといいます。
この病気の経験は、彼の人生観に大きな影響を与えました。「死」を身近に感じながら育った伊藤は、「もういいや」と諦めてしまったら、いつでも逝ってしまうという思いが強く、同時に、自分は生かされているという思いも人一倍強いのだといいます。そのため、「後悔しないように今頑張らないと、楽しまないと、チャレンジしないと」といつも感じているそうです。
小学6年生の時に扁桃腺を摘出したところ完治し、その際に持っていた身体障害者手帳を返納しました。この幼少期の経験が、彼の「何もしないで後悔するなら、チャレンジして後悔したほうがいい」という人生観の基盤となっています。
デビューから一度の活動休止
伊藤英明の芸能界デビューは1993年、第6回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを獲得したことがきっかけでした。1994年に岐阜から上京し(上京した日付は平成6年6月6日)、田中裕子との共演CM(サントリー・オールドのCM)でデビューします。
しかし、人気CMへの出演も決まったものの、当時の所属事務所の方針で方言から直され、髪型や服装も決められ、キャラクターがつくられていくことに疑問を感じた伊藤は、1995年に一度活動を休止します。素の自分とはどんどんかけ離れていく窮屈さの中で、気づくと10kgも痩せていたといいます。
結局、この事務所とは合わずに間もなく辞めましたが、芸能界には再チャレンジをしようと思っていました。そのため東京に残りアルバイトを始め、とび職や解体工事などの肉体労働を選び、約2年間のアルバイト生活を送りました。
俳優としての再出発
アルバイト生活がおよそ2年間続いた後、A-teamのスタッフに声をかけられ、1997年にドラマ『デッサン』(日本テレビ)で俳優活動を再開します。そして2000年、ドラマ『YASHA-夜叉-』(テレビ朝日)でテレビドラマ初主演し、1人2役に挑戦。同年、映画『ブリスター!』で映画初主演も果たし、この映画で高崎映画祭新人賞を受賞しました。
2002年には大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』で主役2人の嫡男である前田利長を演じ、着実にキャリアを積み重ねていきます。そして2004年、彼の代名詞となる作品との出会いが訪れます。
伊藤英明の代表作と演技の変遷
「海猿」シリーズで確立した地位
2004年、伊藤英明は映画『海猿』に主演します。海上保安官の活躍を描いたこの作品は大ヒットし、2005年には連続ドラマ化、2006年には続編の『LIMIT OF LOVE 海猿』が公開され、この年の邦画実写映画・興行成績第1位となりました。
「海猿」シリーズは伊藤英明の代名詞的作品となり、2010年の『THE LAST MESSAGE 海猿』、2012年の『BRAVE HEARTS 海猿』と続編が作られ、いずれも邦画実写映画・興行成績第1位を記録する大ヒットシリーズとなりました。この作品で伊藤英明は、肉体的にも精神的にも強靭な海上保安官・仙崎大輔を熱演し、アクション俳優としての地位を確立しました。
「海猿」シリーズの成功により、伊藤英明は日本を代表する俳優の一人として広く認知されるようになります。彼の真摯な演技と、役作りのための徹底した身体改造は、多くの観客や業界関係者から高い評価を受けました。
演技の幅を広げた作品たち
伊藤英明は「海猿」シリーズでの成功に甘んじることなく、様々な作品で演技の幅を広げていきます。2007年には三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』に主演し、この作品は第64回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されました。
また、2006年には豊川悦司とダブル主演のドラマ『弁護士のくず』に出演し、その演技によって第49回ザテレビジョン・ドラマアカデミー助演男優賞を受賞しています。アクション以外の作品でも高い演技力を見せる伊藤英明は、徐々に演技派俳優としての評価も高めていきました。
悪役に挑戦した「悪の教典」
2012年、伊藤英明は映画『悪の教典』で初めて本格的な悪役(サイコパスの大量殺人犯役)に挑戦します。それまでの正義の味方的なイメージから一転、冷徹で知的な悪役・蓮実聖司を演じ、その演技は大きな話題となりました。
この役柄は伊藤英明の新たな一面を引き出し、演技の幅の広さを証明する重要な作品となりました。彼自身も「役作りのために原作を何度も読み込み、キャラクターの内面を理解することに努めた」と語っており、俳優としての真摯な姿勢が伺えます。
演技力が評価された「WOOD JOB!」
2014年、伊藤英明は映画『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』で杣人(林業家)を演じます。この作品での演技が高く評価され、2015年に第38回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、および第69回毎日映画コンクール男優助演賞を受賞しました。
『WOOD JOB!』での伊藤英明は、それまでのアクション俳優としてのイメージとは異なる、自然体で温かみのある演技を披露し、演技派俳優としての評価を確固たるものにしました。この作品は、彼の演技の幅の広さを示す重要な転機となりました。
伊藤英明の演技力と役作りへのこだわり
役になりきるための徹底した準備
伊藤英明の俳優としての魅力の一つは、役作りへの徹底したこだわりです。彼は役柄に合わせて身体を作り変えることも厭わず、「海猿」シリーズでは筋肉質な体を作り上げ、『悪の教典』では知的な雰囲気を醸し出すために体重を落とすなど、常に役柄に合わせた身体改造を行っています。
また、役柄の内面を理解するために原作がある場合は何度も読み込み、監督や脚本家と綿密な打ち合わせを行うなど、精神面での準備も怠りません。この徹底した役作りへのアプローチが、伊藤英明の演技に説得力と深みを与えています。
身体改造や外見の変化
伊藤英明は役柄に合わせて外見を大きく変えることも特徴の一つです。「海猿」シリーズでは筋肉質な体を作り上げ、『悪の教典』では知的な雰囲気を醸し出すためにスタイリッシュな外見に変身しました。
最近では、2025年4月から配信されるDMM TVオリジナルドラマ「ドンケツ」の役作りのために、10キロの増量と眉毛を剃るという大胆な外見の変化を遂げています。このような外見の変化は、役柄への没入度の高さを示すとともに、観客に新鮮な驚きを与える効果もあります。
演技に対する姿勢と哲学
伊藤英明は演技について「現場で学んでいきました。先生に付いたり、学校に行ったりしたことはないんです。監督やカメラマン、共演者と一緒に演技を続けてきた」と語っています。彼の演技は理論よりも実践から生まれたものであり、それが自然体で説得力のある演技につながっているのかもしれません。
また、彼は「人生、死ぬまで成功か失敗か分からない。何もしないで後悔するなら、チャレンジして後悔したほうがいい」という人生観を持っており、この姿勢が新たな役柄への挑戦や、演技の幅を広げる原動力になっていると考えられます。
監督や共演者からの評価
伊藤英明は多くの監督や共演者からも高い評価を受けています。特に三池崇史監督とは『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『悪の教典』『喰女-クイメ-』『テラフォーマーズ』と複数の作品で協働しており、その信頼関係が伺えます。
共演者からも「現場での姿勢が真摯で、常に作品のことを考えている」「共演シーンでも相手の演技を引き立てようとする気配りがある」など、プロフェッショナルとしての姿勢を評価する声が多く聞かれます。
伊藤英明の私生活
結婚と家族について
伊藤英明は2014年に8歳年下の元会社員の女性と結婚しました。伊藤は結婚の理由について「尊敬でき、思いやりの心を持つ彼女となら共に生きて行けると決心しました」というコメントを寄せています。
結婚式は岐阜県(地元)およびスペイン・マヨルカ島で挙げました。当初、地元で身内だけの神前結婚式のみで済ませる予定でしたが、「ウェディング・ドレスを着たい」という新婦の要望を叶えるために、ハネムーンの地であるスペインでも行うことにしたそうです。
2015年には第1子となる男児が誕生し、2019年には第2子となる長女が誕生しています。現在は7歳と4歳になる2人の子どもを溺愛する父親の顔も持っています。
イクメンとしての一面
伊藤英明は多忙な仕事の合間を縫って育児にも積極的に参加する”イクメン”としても知られています。毎朝満員電車で愛娘と登園したり、子どもと一緒にYouTubeを見たりと、家族との時間を大切にしている様子が伝えられています。
また、息子が好きな戦隊モノに逆オファーして出演したというエピソードもあり、子どもを溺愛する父親の姿が垣間見えます。かつての”遊び人”から結婚を機に激変し、家族を大切にする姿勢は多くのファンからも好感を持って受け止められています。
趣味と資格
伊藤英明の趣味はスキューバダイビング、乗馬、スキー、スノーボードと、アクティブなものが多いです。特にスキューバダイビングは「海猿」シリーズの撮影をきっかけに本格的に始め、PADIダイブマスターの資格も取得しています。
また、普通自動車免許、一級小型船舶操縦士免許なども取得しており、役作りのためだけでなく、プライベートでも様々なことに挑戦する姿勢が伺えます。
プライベートでの素顔
伊藤英明は公私の区別がはっきりしており、プライベートでは家族との時間を大切にする一方で、仕事に対しては真摯な姿勢で臨んでいます。インタビューでは「21時に寝て、朝は子どもとYouTube!」と語るなど、規則正しい生活を送っている様子も伺えます。
また、2015年から4年間、家族をアメリカに移住させた経験もあり、家族との時間や子どもの教育環境を重視する姿勢も見られます。
最新作「ドンケツ」で見せる新たな伊藤英明
「ドンケツ」の概要と役柄
2025年4月25日から配信が開始されるDMM TVオリジナルドラマ「ドンケツ」は、たーし氏による人気極道漫画の実写化作品です。伊藤英明は主人公の沢田政寿(ロケマサ)役を演じています。
北九州最大の極道組織で最強と恐れられる漢”ロケマサ”を演じる伊藤英明は、これまでの役柄とはまた異なる新たな挑戦に臨んでいます。「ドンケツ」は「権力より、腕力だろ?」というキャッチコピーが示す通り、拳一つで極道界を突き進むバイオレンスエンタテイメントとなっています。
役作りのために10キロ増量と眉剃り
「ドンケツ」の役作りのために、伊藤英明は10キロの増量と眉毛を剃るという大胆な外見の変化を遂げました。彼は「生身の人間が演じる役ではない」と語り、原作の漫画キャラクターに近づけるために徹底した役作りを行ったことが伺えます。
この徹底した役作りは、原作者のたーし氏からも大絶賛されており、完成披露試写イベントでは「伊藤英明のロケマサを描いて頂きました」と感動を語っています。伊藤英明自身も「凄くお気に入りの作品」と語っており、この作品への思い入れの強さが伝わってきます。
共演者との化学反応
「ドンケツ」には伊藤英明の他にも、金子ノブアキ、今井翼、青柳翔、葉山奨之、眞島秀和、寺島進、三宅健、柳葉敏郎など豪華キャストが集結しています。特に三宅健は伊藤英明演じるロケマサの数少ない友人・三宅進役として出演し、初共演を果たしています。
伊藤英明は共演者について「素晴らしい俳優陣と共演できて光栄」と語っており、撮影現場での化学反応も期待されています。特に寺島進や柳葉敏郎といったベテラン俳優との共演シーンは、作品の見どころの一つとなっています。
作品への思いと意気込み
伊藤英明は「ドンケツ」について「苦悩の10キロ増も凄くお気に入りの作品」と語っており、役作りの苦労を乗り越えた先にある作品への自信と愛着が感じられます。また、「喜びの渋滞です」と表現するなど、作品への思い入れの強さも伝わってきます。
原作漫画の人気と、伊藤英明の熱演が相まって、「ドンケツ」は2025年の注目作品の一つとなっています。伊藤英明にとっても、新たな代表作となる可能性を秘めた作品と言えるでしょう。
伊藤英明の今後の展望
事務所独立と新たなスタート
伊藤英明は2022年に25年在籍した芸能事務所・A-teamを退所し、尊敬する俳優の津川雅彦が所属していたグランパパプロダクションへ移籍しました。そして2024年7月1日には、グランパパプロダクションを退所し、個人事務所・ID4マネージメントを設立しています。
50歳を目前にした伊藤英明は、「自分のキャリアに自信がない」と語りながらも、新たなスタートを切ることを決意しました。この決断は、彼の俳優としての新たなステージへの挑戦を示すものと言えるでしょう。
挑戦し続ける俳優としての姿勢
伊藤英明は「人生、死ぬまで成功か失敗か分からない。何もしないで後悔するなら、チャレンジして後悔したほうがいい」という人生観を持っており、この姿勢が新たな役柄への挑戦や、演技の幅を広げる原動力になっています。
50歳を目前にしても、「ドンケツ」のような新たな挑戦を続ける姿勢は、彼の俳優としての真摯さと情熱を示すものです。今後も様々な役柄に挑戦し、演技の幅を広げていくことが期待されます。
ファンが期待する今後の活躍
伊藤英明のファンは、彼の多様な役柄への挑戦と、それぞれの役柄で見せる説得力のある演技に魅了されています。「海猿」シリーズのような正義の味方から、「悪の教典」のような悪役まで、幅広い役柄をこなす彼の演技力は、多くのファンから支持されています。
今後も、アクション作品だけでなく、ヒューマンドラマや社会派作品など、様々なジャンルでの活躍が期待されています。また、国際的な作品への出演や、監督業への挑戦など、新たな分野での活躍も期待されています。
まとめ
伊藤英明の魅力の総括
伊藤英明の魅力は、役柄に合わせて自在に変化する演技力と、役作りへの徹底したこだわりにあります。「海猿」シリーズでの筋肉質な海上保安官から、「悪の教典」での冷徹な悪役、「WOOD JOB!」での温かみのある杣人まで、様々な役柄を説得力を持って演じ分ける彼の演技は、多くの観客を魅了してきました。
また、幼少期の病気の経験から培われた「チャレンジ精神」と「生きることへの感謝」が、彼の俳優としての姿勢にも影響を与えており、常に新たな役柄に挑戦し続ける姿勢は、彼の魅力の一つとなっています。
俳優としての価値と日本映画界での位置づけ
伊藤英明は、アクション俳優としての側面だけでなく、繊細な感情表現や、時に冷徹な悪役まで、幅広い役柄をこなす演技力を持つ俳優として、日本映画界で確固たる地位を築いています。
「海猿」シリーズの大ヒットや、国際映画祭への出品作品への出演、日本アカデミー賞や毎日映画コンクールでの受賞など、商業的にも芸術的にも評価される俳優として、日本映画界において重要な存在となっています。
50歳を目前にした今も、「ドンケツ」のような新たな挑戦を続ける伊藤英明は、これからも日本映画界を牽引する俳優の一人として、その活躍が期待されています。